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1937年
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"Don't kill, don't be killed"
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2008-11-21

[ラーベの日記][誤訳] ラーベとローゼンの仲

私はこのシリーズの冒頭の町内会役員についついなってしまいがちな人情オヤジというエントリーの中で次のように書きました。
ラーベのような人物は日本にもいます。 下町的人情と仕事へのこだわり、人に頼まれるといやとは言えず、町内会の役員でもなんでも引き受けてしまう。そんなオヤジさんの一人です。30年間中国にくらし、中国人からの信頼に応えるために、ラーベは空爆下の南京に留まったのでした。
講談社本平野卿子氏訳による一種べらんめい調、頑固親父ラーベおやっさんは、私には好いた人柄でした。しかし、そこから妙な誤解をしてきたことを読者の皆さんにお詫びします。 

ラーベおやっさんは、人情おやじだからといって非理知的(アバウト)ではないのです。理知的な人情オヤジなのです。にもかかわらず、日記の中に「非理知的(アバウト)」な部分があっても変に納得して読みすごしてしまうワタクシに気づきました。

もしかしてそれは、講談社本平野卿子氏訳におけるアバウトさに誘導されてそうなったのかもしれません。

11月19日の日記から問題の部分、アバウトな訳を再掲します。
いまのところ、ドイツ大使館員はまだ三人残っている。ヒュルター、ローゼン、シャルフェンベルグのメンバーだ。なぜローゼンが残されたのだろう。あの人が自分から希望するはずがない。ちょうど大使が留守だったので、この命令を取り消すようとりはからってもらえないかと、夫人に頼んだところ、できる限り努力するとの返事だった。

ローゼンは、心ならずも残されたのだ。そういう人が相手ではどうしようもない。ローゼンは私が委員会に参加することを知らないし、また知る必要もない。カルヴィッツ社のメルヒオールが、やはりいっしょに避難したらどうかといってきた。せっかくだが、断るしかない。
同じドイツ語底本からの英訳文を取寄せました。その部分は、
  Three people from the German embassy are remaining behind for now: Hürter, Dr. Rosen, and Scharffenberg. It's unclear to me why they're keeping Dr. Rosen here. When I learn that he did not volunteer, I ask Frau Trautmann to intercede with the ambassador, who is still here for the moment, to get the order reversed. Frau Trautmann will do what she can. What good to us is someone whose heart is not in this? Dr. Rosen knows nothing about my intervention yet and he never needs to learn. Melchior of Carlowitz & Co. tried to talk me out of my decision to stay. I thanked him, but declined.

これを、英語が万年3だった私が無謀にも訳してみます。あとで必ずお叱りを下さい!
  ドイツ大使館からは次の3人が残留することになった。ヒュルター、ローゼン博士、シャルフェンベルグ。ローゼンを残留させたのはなぜか? 私には不可解だ。ローゼンは志願してないと知って、私はトラウトマン夫人に大使への取り成しをお願いした。大使が目下のところ南京にいるうちに決定を差し戻してもらえないかと。夫人は最善をつくすといってくれた。こころからこの件にかかわらない人が一緒でよいのだろうか。ローゼンはまだ私がこのように仲介したことを知らない。知る必要も無い。
  カルロヴィッツ社のメルヒオールが私の残留決定を覆そうと説得してくれた。私は感謝を表した上お断りした。

19 November の全文


the ambassador, who is still here for the moment
11月22日の日記に、船に乗る前の大使にスマイス教授を紹介した、という記述がありますので、この日は「ちょうど大使が留守だったので」ということはなかったと思います。

What good to us is someone whose heart is not in this?
う〜む、ムズです。
「Was sollen wir mit einem Mann hier, der nicht mit vollem Herzen bei der Sache ist. 」
Apemanさんがドイツ語ではこうなっていると教えてくれました。
(独→英)
「What good to us is someone whose heart is not in this?  」
対応する日本語訳の部分は
(独→日)
「ローゼンは、心ならずも残されたのだ。そういう人が相手ではどうしようもない。」
そういう人って一体誰を指すのか? この日本語は、『誰』に関して表記されない源氏物語よりもむずかしい!!

ローゼンは私が委員会に参加することを知らないし」とは?
英文だと、"intervention"となっていて、"介入、干渉、内政干渉、仲裁、調停、売惜しみ" なのだが。"私が委員会に参加すること" となったのはいったいなぜだろうか?

いずれにしても、英文を読むと、ラーベおやっさんは筋が通っているんです!! (独文が読めればもっとイイ!!)
それと、ラーベはローゼンに対しては妙な確執などなかったようです。

※なおこの件では、試行錯誤掲示板で渡辺さんの教示を頂きました。

[ラーベの日記][戦況と民衆] まるで映画の導入部

もしラーベの視点からの映画をつくるなら、この日の情景を導入部にするのではないかとワタシは思います。日記に書かれた下関埠頭の情景は、南京が『陸の孤島』になることを象徴しており、写された人々の表情は、悲劇の都市に残るか去るか違いが浮き彫りにされています。大クレーンを使った、1カット1シーンです。
十一月二十一日
防空壕は心配の種だ。水位があがる一方だからだ。使えなくなったらどうしよう。水を汲み出そうにもひまがない。どこかにもっとちゃんとした防空壕はないだろうか。安全な防空壕がいくつか作られたという話だ。我々が使えるところがあるといいのだが!

発電所の管理人白(パイ)さんがここに泊めてもらえないだろうかといってきた。もちろん承諾した。主任技術者の陸法曾さんも、奥さんと使用人をつれて来たいという。トランスオーシャン通信社の人たちがクトゥー号で避難するので、校舎があく。そこを使ってもらうことにしよう。

十三時半に私は中山埠頭へいった。十四時のランチでクトゥー号へいって、自分の荷物をたしかめるためだ。十六時になってようやくランチがすがたをみせた。クトゥー号で荷物をたしかめる時間はたった十分しかなかった。今朝最後に送り出した荷物もちゃんとあったので安心した。のんびりとカードを楽しんだり、ビールジョッキをかたむけている乗客たちとあわただしく別れの挨拶をかわしたあと、はやくしろとしきりに汽笛を鳴らしているランチで下関へ戻った。これを最後に橋が取り壊され、橋はひとつもなくなった。
『橋』とは、常識的に考えて『桟橋』。桟橋が全て壊されてしまった、ということ。荷物の積み下ろしはもうできない。
ラメザン男爵の後任で、警察の顧問をしているべーレンシュプルング氏を訪ねる。通行証をもらいたいのだ。そうすれば、警報が解除された直後や、夜十時をすぎても自由に外出できる。ところが、ちょうど蒋介石から漢口に行くよう指令があったばかりだそうで、明日発つという。通行証のことをいうと名刺をくれて、明日首都警察庁長の王固盤を訪ねるようにといった。まだいたら、の話だが。
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