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1937年
秋冬コレクション

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"Don't kill, don't be killed"
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2006-12-06

[ラーベの日記][国際委員会] 黄上校 軍は軍のために?

  十二月六日
ここに残っていたアメリカ人の半分以上は、今日アメリカの軍艦に乗りこんだ。残りの人々もいつでも乗りこめるよう準備している。われわれの仲間だけが拒否した。これは絶対に内緒だが、といってもローゼンが教えてくれたところによると、トラウトマン大使の和平案が蒋介石に受け入れられたそうだ。南京が占領される前に平和が来るといい、ローゼンはそういっていた。
・ アメリカの軍艦=砲艦パナイ(パネー)号のことか。一週間後の後に日本海軍機が空襲して国際問題となる。パナイ号艦艇は「中立地」でもあったからダーディンら欧米人記者はここに仮宿しここから記事を送ることにしてたとのことだ。
(追記)上海への避難輸送船なら軍艦オアフかもしれない、というメールをある方からいただきました。確かにパナイ号は、上海への避難輸送船としてではなく、アメリカ大使館分室として揚子江に停留しているところを爆撃されたのでしたね。
・ トラウトマン大使の和平案とは、もともと日本側広田弘毅外相の発意で独大使トラウトマンに仲介を依頼したもの(「トラウトマン工作」)だから、「蒋介石が受け入れれば成立する」とローゼンが思ったとしても不思議ではない。しかし、日本側は包囲殲滅作戦に入っていたので、和平を邪魔として自ら始めた工作を反故にしたのだろう。
黄上校との話し合いを忘れることができない。黄は安全区に大反対だ。そんなものをつくったら、軍紀が乱れるというのだ。

「日本に征服された土地は、その土のひとかけらまでわれら中国人の血を吸う定めなのだ。最後の一人が倒れるまで、防衛せねばならん。いいですか、あなたがたが安全区を設けさえしなかったら、いまそこに逃げ込もうとしている連中をわが兵士の役に立てることができたのですぞ!」

これほどまでに言語道断な台詞(せりふ)があるだろうか。二の句がつげない! しかもこいつは蒋介石委員長側近高官ときている! ここに残った人は、家族をつれて逃げたくても金がなかったのだ。おまえら軍人が犯した過ちを、こういう気の毒な人民の命で償わせようというのか! なぜ、金持ちを、約八十万人という恵まれた市民を逃がしたんだ? 首になわをつけても残せばよかったじゃないか? どうしていつもいつも、一番貧しい人間だけが命を捧げなければならないんだ?
・ 黄上校:上校は大佐か。
・ ラーベに言わせれば言語道断な黄上校のせりふだが、「日本に征服された土地はその土のひとかけらまでわれら中国人の血を吸う定めなのだ。」は満州のことか。民国政府軍での抗日の合言葉だったのだろう。
・ ラーベは蒋介石を始めとした国民党を「金持ち階層」の党とみているようだ。ラーベが心酔し、幻想を抱いているヒトラーの党はそれに対して、「労働者の党」?。ラーベにはナチス党初期のイメージが強いのかもしれない。
それから軍人や軍の施設を引き揚げる時期について聞いた。最後のぎりぎりの瞬間、それより一分たりとも前ではない、というのがやつの返事だ。要するに、土壇場まで、市街戦が繰り広げられるその瞬間までいすわろうという肚なんだ!
中国側南京防衛軍の戦闘序列、作戦計画、壊滅原因についての分析は、絶版になった本だが、『南京大虐殺の研究』晩聲社1992年「南京防衛戦と中国軍」笠原十九司が詳しい。
きちんと準備するには、米や小麦粉、塩、燃料、医薬品、炊事道具、あと、なんだかしらないがとにかくいるもの全部、日本軍が攻めてくる前に用意しておかねばならない。医者、救護員、汚物処理、埋葬、警察、そうだ、場合によっては警察のかわりまでやる覚悟がいる。軍隊と一緒に、十中八九警察もいなくなるだろう。そうなったら、治安が乱れるおそれがある。こういうこともみなそのときになってからやれと言うのか?

なんとか考えを変えるよう、黄を説得しようとしたが無駄だった。要するにこいつは中国人なのだ。こいつにとっちゃ数十万という国民の命なんかどうでもいいんだ。そうか。貧乏人は死ぬよりほか何の役にも立たないというわけか!

防衛についても話し合った。私は必死で弁じた。ファルケンハウゼン将軍はじめ、ドイツ人顧問は口をそろえて防衛は不可能だと言っている。もちろん、形だけでも防衛はしなければならないだろう。司令官にむかって。むざむざ明け渡せなどといえないことくらい百も承知だ。面目を保ちたいのもわかる。だが、南京を守ろうとする戦い、この町での戦闘はまったくばかげたことであって、無慈悲な大量虐殺以外の何物でもない! ・・・・・・だが、何の役にも立たなかった。私には説得力がないのだ!

黄は言った。名誉とは、最後の血の一滴まで戦うことにある! ほう! お手並み拝見といこうじゃないか! 発電所の管理人の白さんと主任技術者陸さんは、発電所を動かすために、命がけでがんばるとか言っていた。たしかに発電所は動いている。はて。誰が動かしているのかね。白さんと陸さん、この二人はとっくにいなくなったが。

「名誉とは、最後の血の一滴まで戦うことにある!」包囲殲滅戦を受ける側の参謀のことば。実はわが国軍隊もこの7年半後に同じような境遇となった。沖縄防衛の第32軍である。

「安全区」とか「難民区」とは、軍と民を分離して民衆の犠牲を最小限にしようという思想にもとづく。それに対して、沖縄32軍の思想は「軍民の共生共死」であった。その結果、
沖縄戦での日本軍の戦死者はおよそ9万4千人、アメリカ軍の戦死者がおよそ1万2千人ですが、一般の住民の犠牲者は9万4千人あまりといわれています。結局、沖縄出身兵戦死者もふくめて、沖縄県民の犠牲者は、およそ12万2千人になります。http://www.nahaken-okn.ed.jp/watashi/sougo/4okinawasen/4okinawasen.html
南京と沖縄との不思議な因縁は、日本軍の中にも黄上校と同じような軍人風をふかせて虚勢をはる参謀がいたということである。その一人が長勇中佐であった。
http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/172.html#id_27c273b9
http://ch05028.kitaguni.tv/e85330.html
1937年の南京攻略戦において捕虜虐殺命令をだした長勇参謀(中佐)は、1945年の沖縄戦では黄上校の立場に転じて、32軍参謀長(中将)として「軍民共生共死」の玉砕戦を指導した。

「本土決戦を1日でも長く引き伸ばす」という目的のためだけだった。5月下旬首里陥落のあと摩文仁へ向かった32軍は、もはや「作戦」行動を行ないえない敗残兵団でしかなかった。「軍」の実力は、米軍に対しては全く刃がたたず、味方の住民への刃となるのみだった。「沖縄方言を喋る住民はスパイ」という軍通牒を出し、壕の中の赤ん坊や幼児を黙らせるといった狼藉を働きながら、6月終わりまで「塹壕引き篭もり戦を継続した。「軍」のもとにいれば「安全」だと信じて、南部への移動に付き従った人びとほど哀れなものはない。

「投降すれば敵に八つ裂きにされる、強姦される」だから・・・と「集団自決」を奨めたのが、中国戦線を経験した予備役兵士であったというのも、南京と沖縄の因縁かもしれない。

部隊の足手まといにならないようにと、進んで「集団死」を選んだ住民もいた。教え込まれた「軍民共生共死」の実戦であった。生き延びて部隊に協力しようとして逆に「スパイ」の嫌疑がかけられ「友軍」に処刑された人も少なくなかった。

(ある島において最期まで生き延びたのは、住民をそのような死に追いやった島の最高司令官たる部隊長であった。かれ自らは結局、部下の将兵や住民に最も戒めていた米軍の捕虜となった。そして行き続けることができた。にもかかわらず彼は今、自決命令を出したのは俺ではない、と裁判を起こしている。潔からず、醜態である。)

どこの国の軍隊も、切羽詰るとその狂気が結晶化する。国民の命を完全に無視するのである。
・南京防衛の中国軍
・沖縄防衛の日本32軍
・開拓団を置いてきぼりに真先に撤退した満州の関東軍
>こいつにとっちゃ数十万という国民の命なんかどうでもいいんだ。
軍は軍のためにのみあり! 
これは、万国公理のようです。
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